令和8年6月 大山町下中山地区





【(遊)ナカヤマ】
8年前に訪問した時は、2階でスケートボードの室内練習場を運営されていましたが、
5年ほど前から、主に一階の工房で使い終わったスケートボードの板を再利用した物作りを始められました(2026年6月現在)
中川さんは、スケートボードの合板を使用した作品をみて衝撃を受け、いつかは自分も作ってみたいと思っていたそうです。
制作中のテーブルや翌日のイベントに出展する作品を見せていただきました。

制作中に出てしまう端材を捨てるのがもったいない、と中川さんの奥さんがユニークなオブジェやアクセサリーを制作されています。捨てられるはずだったスケートボードの板が、夫婦のアイデアと愛情によって、世界に一つだけのアート作品へと見事に生まれ変わっています。




【春日神社と岩井垣城跡】
続いて訪れたのは、静かな緑に囲まれた「春日神社」。ここで、この地で代々暮らしてきたという筬津(のつ)さんにお話を伺いました。
春日神社の歴史には諸説あり、名和長年(なわながとし)が奈良の春日大社から神様を勧請(かんじょう)したという説のほか、筬津さんのご先祖である「筬津豊後守(のつぶんごのかみ)」が勧請したという説も残されています。なんと筬津家は、この下中山の地で650年もの長きにわたり、激動の歴史を見守り続けてきたというから驚きです。
さらに神社の境内のすぐ横には、14世紀中頃にそのご先祖が居城していたと伝わる「岩井垣城跡」があります。本丸や二の丸などの建物は残っていませんが、お墓は残されており、筬津さんは今でも毎年欠かさずお墓参りをされているそうです。地域の歴史と一族の絆が今も息づく、とても神秘的な場所でした。


【地域自主組織「楽しもなかやま」】
地元の人々が賑やかに作業をしている場所に遭遇しました。お話を伺ったのは、地域の自主組織「楽しもなかやま」のメンバーです。
下中山地区を流れる小川周辺は、旧中山町時代に整備されたものの、一時期の周辺開発によって生き物が住みにくい環境になってしまいました。その後、近くに団地ができた頃に一時的にホタルが姿を見せましたが、やがて再び消えてしまったそうです。 「もう一度、この地にホタルが舞う環境を取り戻そう」と、7年前から住民たちが立ち上がり、ホタルの生息を守る「楽しもビオトープ」の活動が始まりました。強い光を嫌うホタルが飛び交う6月のシーズン中、メンバーは街灯ひとつひとつに手作りの「赤いカバー」をかける作業を行います(赤色の光ならホタルに影響がないため)。


さらに、行政とも協力しながら、ホタルの幼虫の餌となるカワニナが育つよう、環境に配慮した草刈りも徹底しています。 看板に描かれた可愛い「ホタルの生き方」のイラストは、メンバーの娘さんが資料を参考に描かれたものだそう。すでに今年もホタルが飛び始めており、住民たちの長年の努力が美しい光となって実を結んでいます。



【ラーメンさくら】
2025年1月にこちらの場所に移転されました。
9号線沿いにお店があったころから試行錯誤を繰り返していた麺。
取材に伺ったこの日、新しい麺ができあがったとのこと!
今後はオープンアタック(開店前に並ぶこと)に力を入れたいとのことで、オリジナルのステッカー配布などを企画されているそうですよ。



【おとねこ堂】
「おとねこどう」という可愛らしい木の看板に惹かれて訪ねたのは、當別當さんのご自宅です。一歩中に入ると、開放的な空間にグランドピアノ、ドラムセット、和太鼓、さらには珍しい民族楽器がずらりと並んでいます。そしてお家のあちこちでは、3匹の愛猫たちがのんびりと日向ぼっこをしています。
當別當さんは東京でも音楽教室を主宰されており、ここ下中山でも子どもから大人までが集まるピアノ・音楽教室を開いています。「(ご自身が)子どもの頃にピアノを無理やり習わされていたこともあり、嫌いになってほしくない。音楽を好きで、楽しいと思って自発的に奏でてほしい」という強い想いから、一人ひとりがやりたい音楽に“全振り”できる自由なレッスンを行っています。
また、當別當さんは地域自主組織「楽しもなかやま」の一員でもあり、2ヶ月に1回、中山温泉のホールで開催される音楽イベント「楽しもライブ」の企画・運営や、自ら演奏者としても出演し、音楽の力で地域を盛り上げています。


【自然の探検家・白石泰志さん】
最後に出会ったのは、腕に緑の「自然観察指導員」の腕章をまいた白石泰志さん。白石さんは、大山町初、あるいは世界初となる生き物の発見をこれまでに80種類以上も成し遂げてきた、ものすごい経歴を持つ自然のスペシャリストです。



今回案内していただいたのは、下中山の森の奥。一見どこにでもありそうな小さな水溜まりですが、ここには環境省や鳥取県が絶滅危惧種に指定している希少な「サンインサンショウウオ」が生息しています。この場所での生息が確認されたのは、なんと今年(2026年)になってからのこと。 白石さんが泥のなかの落ち葉をそっとめくると、2月に産卵された卵から孵ったばかりの、小さくて愛らしいサンインサンショウウオの「幼生(ようせい)」が姿を現してくれました。
白石さんは「自分たち専門家が自然の価値を分かっていても、地域の人に伝わっていなければ意味がない。地元の豊かな環境を知ってもらい、学びや誇りに繋げていくことが僕の役目です」と語り、定期的に自然観察会を開催されています。大山町には、まだまだ私たちの知らない豊かな自然の秘密が隠されていますね。